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ホルスタイン受精卵の取り扱いを始めました
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ホルスタイン受精卵の取り扱いを始めました

2025.10.09酪農


― 高ゲノムが拓く、持続可能な酪農のかたち ―

私たちはこれまで、黒毛和種の体外受精卵の生産・販売を中心に事業を展開してきました。
そしてこのたび、新たにホルスタイン種の体外受精卵の取り扱いを開始しました。

この決定の背景には、「高ゲノム牛の受精卵を広めることが全国の酪農家に大きな価値をもたらし、ひいては日本の畜産全体の発展につながる」という確信があります。
現在、Milknet Labo公式オンラインショップにてホルスタイン受精卵の販売を開始しています。

👉 高ゲノム受精卵はこちら:
https://www.milknet-labo.co.jp/shop/products/list?category_id=11


高ゲノム牛を飼う酪農家に見られる違い

私たちが関わってきた牧場の中で、ゲノム評価を積極的に活用して改良を進めている酪農家では、明らかに受胎率が高い傾向が見られます。
牛たちは毛艶がよく、健康で、環境変化にも強いという共通点があります。

北海道東部に位置し、冬は厳しい寒さに見舞われる一軒の酪農家さんでは、早くからゲノム評価に取り組み、受精卵移植による群づくりを進めてきました。
この牧場では、高ゲノム牛の中でも特にNM(ネット・メリット)を重視して後継牛を選抜・飼育しており、繁殖性や健康性に優れた個体を中心に群が構成されています。
その結果、季節や気温の変化に左右されず、一年を通して繁殖成績が安定し、環境ストレスや感染症にも強い牛群が維持されています。

こうした牧場の基礎牛の多くは、実は受精卵移植(ET)によって導入された個体です。


🧮 TPIとは(総合能力指数)

TPI(Total Performance Index)は、ホルスタイン種の遺伝的な能力を総合的に評価する指標です。
乳量・乳脂率・乳タンパク率などの生産性に加えて、繁殖性・寿命・健康性などの要素も数値化し、1頭ごとの遺伝的価値を示します。
TPIが高いほど、総合的な生産能力と経済性が優れていると評価されます。
現在、世界のトップホルスタイン牛はTPI 3000を超える個体も登場しており、これらは「高ゲノム牛」として注目されています。


💰 NM(ネット・メリット)とは

NM(Net Merit)は、牛1頭が一生のうちに生み出す経済的利益(生涯純利益)を予測する指標です。
乳量・乳脂・乳タンパクの生産量だけでなく、繁殖成績、寿命、疾病耐性などを金額換算して総合的に評価します。
つまり、NMが高いほど「長く健康に搾れ、経済的に優れた牛」であることを意味します。
米国ではこのNM値が酪農経営の重要な判断基準とされ、高ゲノム牛選定の中心的な指標となっています。


高ゲノム牛の群づくりは「受精卵移植」から始まる

高ゲノム牛による牛群改良は、すでに評価の確立した高能力受精卵を移植することから始まります。
A2ミルク遺伝子の有無や発育性など、農場の改良方針に合わせて条件を満たす高能力遺伝子を持つ牛を導入できます。

こうして生まれた牛を採卵や移植で増やすことで、乳量・繁殖性・健康性を兼ね備えた経済的な牛群を効率的に構築することが可能です。


なぜ「受精卵」から始めるのか

ホルスタインの受精卵は、従来は主に海外から輸入されてきたため、確かに価格は高めでした。
しかし、そこから生まれる高ゲノム牛は1頭あたりの生涯利益が明確に高いことがデータで示されています。

例えば、TPIやNMで上位に位置する牛は平均的な群よりも、年間で約6万〜12万円多い純利益を生み出すと報告されています。
100頭規模の牧場がそのうち10%を高ゲノム牛に置き換えた場合、年間でおよそ100万円の利益増加が期待できます。
これは乳量の増加だけでなく、健康性や繁殖性の向上によって長く活躍できる牛が増えるために生まれる利益です。


国産ホルスタイン受精卵の進化

これまで高ゲノム牛の導入は高額な輸入受精卵に頼る面がありましたが、近年は国内でも価格を抑えつつ、同等またはそれ以上の能力を持つ受精卵が生産されています。

私たちが取り扱うホルスタイン受精卵はいずれも高い遺伝的能力を持つ個体から作出されています。
ぜひ、こうした高能力の産子を後継牛として残し、次の世代へとつなげていってほしいと考えています。


🧬 高ゲノム受精卵とは

高ゲノム受精卵とは、ゲノム解析によって遺伝的能力が高いと評価された牛から採卵・受精した体外受精卵のことです。
乳量、繁殖性、健康性などの能力を遺伝子レベルで数値化することで、将来の生産性を予測できます。
従来の血統評価に比べて改良スピードが格段に速く、牛群全体の質を短期間で高めることが可能です。
高ゲノム受精卵を導入することは、酪農経営の安定化や持続可能な生産体制の構築に大きく貢献します。


ET(受精卵移植)を基本としたこれからの酪農

私たちは、これからの酪農経営はET(受精卵移植)を基本に据えるべきだと考えています。
搾乳牛の後継牛も、高ゲノム牛から採卵した受精卵を移植して計画的に増やします。
十分な後継牛を確保したあとは、和牛の受精卵を移植し、肉用としての収益も最大化します。

こうして受精卵移植を主要な技術として活用することで、遺伝改良と和牛生産の両立を図りながら、一頭ごとの利益を最大化する酪農経営が実現します。


📞 お問い合わせ:ミルクネット受精卵研究所(011-375-0698)
👉 高ゲノム受精卵(Milknet Labo公式ショップ):
https://www.milknet-labo.co.jp/shop/products/list?category_id=11